赤ペンで斜線を入れた遺言が無効に|最高裁判所の判決
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今回の記事も十日ほど前に報道がなされた内容を掲載しますが、最高裁判所が明確に公開しているものです。
全文を自筆で書く「自筆証書遺言」に、文面全体の左上から右下にかけて赤色のボールペンで1本の斜線が作成者本人により引かれたことが、きょうだい間の争いになりました。さらに、争いが最高裁判所まで続きました。
一つの文でこの裁判を紹介すると、最高裁判所の判例検索で裁判要旨として公開されているとおりですが、
遺言者が自筆証書である遺言書の文面全体に故意に斜線を引く行為が民法1024条前段所定の「故意に遺言書を破棄したとき」に該当し遺言を撤回したものとみなされました。
もともとの遺言書では、大半の資産を息子に相続させると書かれており、封書に入れたものの、封は一度開いた後にのり付けされていました。この遺言が有効ならば、遺産を受け取れないことになる娘が、遺言は無効であることの確認を求めて、息子を訴えました。
地方裁判所や高等裁判所は、斜線を引いたのは遺言者本人であることを認めましたが、斜線が引かれた後も遺言書の元の文字が判読できる状態である以上、故意に遺言書を破棄したわけでないと判断しました。
最高裁判所は逆に、赤色のボールペンで遺言書の文面全体に斜線を引く行為は、遺言書の全体を不要のものとし、そこに記載された遺言の全ての効力を失わせる意思の表れとみるのが相当であるから、故意に遺言書を破棄した場合に該当し、遺言は無効であると判断しました。
もっとも、これから遺言を作成される方の場合、民法に定められた原則どおりの方法をお勧めします。ややこしい方法がこのような裁判を引き起こしたのだろうと考えます。
豊中にあります岡本会計事務所では、遺言にまつわる相談や作成の支援を積極的にさせていただいています。
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